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平安御子女騒乱記
― 第三部あらすじ ―


めでたく東宮の子を懐妊した綾姫だったが、後宮で奇病(おたふく風邪)が大流行し、感染者たちは別邸へ移される。東宮も感染してしまい、子供のころに感染経験済みだった綾姫は、周囲の反対を押し切って自ら看病に付き添う。

そんな中、綾姫の元に一人の男が訪れる。それはなんと、男装した豊姫だった。帥の宮正仁(第一部の時の東宮大夫)と恋仲の豊姫は、感染して同じ別邸に移された正仁が心配でたまらず、単身忍び込んだのだった。それが綾姫浮気騒動に発展するが、じきに誤解は解け、豊姫は正仁の看病を許される。
その後、奇病騒動は終息し、隆宗は帝に即位する。まもなく、正仁と豊姫は結婚する。

ある日、正仁が血相を変えてやってくる。豊姫が目の前で誘拐されたというのだ。急いで豊姫捜索が行われ、豊姫はすぐに発見されたが、記憶を失っていた。
その数日後、豊姫が懐妊していることが判明する。時期から見て懐妊したのは事件前であり、ひとまず吉報となる。

一方、誘拐事件の捜査は進み、その誘拐状況の特殊性から、実行可能な犯人として松本一族の名があがる。松本一族とは、松本直字(ちょくじ)という男の家族を中心に構成される盗賊団である。訓練によって得た超人的なほどの運動能力が、その特徴である。

その松本一族の元に出入りする貴族が確認される。筑後の守の築志(ちくし)である。
綾姫が弟のように可愛がっている童、成樹を潜入させて築志の身辺を捜査すると、築志の妻が消えた事実が確認される。築志は、松本一族を盗賊団とは知らぬまま関わりをもっていた。

さらに調べを進めようとしていたそのとき、正仁が綾姫の元へやって来て、豊姫が別人のような気がすると訴える。綾姫は正仁の話を聞いてひとつの仮説を立て、調査すると、直字にさらわれた豊姫の双子の妹がいることが判明する。豊姫の母親は、直字に弱みを握られ、その事件を公にできずにいたのだ。
綾姫はその情報を手に豊姫と対峙。それが豊姫ではなく、美(よし)という名の娘で、築志の妻であることが判明する。

今回の事件の全容は、こうだ。
昔、直字は豊姫の母親である政子の浮気相手だった。政子は懐妊したが、それは直字の子である可能性もあり、直字は赤子の一人を奪った。
成長するにつれ、子供の容貌から直字の子ではないことがはっきりするが、そのような事情を夫に話すこともできず、奪われた双子の妹の存在は内密にされていた。
やがて育った双子の妹、美を用い、直字はある陰謀をめぐらす。豊姫と妊娠した美を入れ替え、その子を上流貴族の子とするのだ。その後に真実が露見しても、内大臣はことを公にすることはできないだろう。豊姫を返す条件として美を腹違いの子として認知させれば、もくろみは二重になる。拉致している間、豊姫に松本一族の子を孕ませれば、さらに・・・。
美を松本一族の者ではなく築志に与えたのは、入れ替わって疑われぬ程度の貴族の作法を身に付けるため、又、美の心酔ぶりを見て、築志が美の裏切りを防ぐ人質になると判断したからだった。

美本人は何も知らず、築志の出世のため、と直字のいいなりになっていたが、綾姫から知らされた事実に愕然とする。
直字に利用されていたことを理解し、松本一族は難攻不落だが、内部に不満を抱くものたちがいること、その者たちと通じれば豊姫救出が可能かもしれないことを話す。
綾姫は、その者たちと接触する任務を、お付き女房の瑞穂に託す。瑞穂は松本一族の元へ潜入することになる。

瑞穂はわざと松本一族に捕まり、友紀(とものり)という冷酷で眼光鋭い男に預けられる。
直字に捕らえた女性を捧げるための「道ならし」として、瑞穂を手篭めにすることが友紀の任務だった。
しかし己さえ見放していた自分の真実を見透かされ、怖がらずにすべてを受け入れる瑞穂に強く惹かれた友紀は、瑞穂を差し出さず自分のものにするため、直字に願い出ようとする。
だが、直字のもとに瑞穂が潜入することが今回の作戦の要であったため、瑞穂はそれを止め、今回の件について友紀に打ち明ける。

友紀の協力も得て、作戦が実行され、豊姫は無事救出される。
松本一族は離散。美は内大臣の子と認められ、築志のもとへ戻る。瑞穂は友紀と結ばれ、綾姫は無事男の子を出産する。


【管理者より】
引き続きあらすじのみで申し訳ありません。
ワープロが壊れて小説のデータが取り出せなくなり、改めて書き直す時間もなく、このような形での公開となりました。
第三部はもともと長すぎて、公開できる量じゃなかったんですけど・・・(^_^;
なにしろ随分前に書いたものなので、記憶を掘り起こしてまとめるのも大変でした;
あらすじだけでも公開できて良かったです。



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