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 エピローグ アイゼル

わたしにとって、すべてが夢の中の出来事のように、めまぐるしく動いていた。
盗賊たちの洞窟に、あの娘を求めて忍び込んだ、あの時から・・・。
不意に、ナタリエさんが現われた時も・・・。
外に出て、エリーとマルローネさんが待っているのを見つけた時も・・・。
わたしの記憶はおぼろで、とらえどころのない夢のようなかけらとなって、頭の中を漂っているようだった。
ただ、ひとつだけ、確かなのは・・・。
気が狂いそうなくらい、あの娘のことを心配していた時間が終わりを告げたという安堵感・・・。

今、わたしの正面には、マルローネさんとエリーがいる。
右隣には、聖騎士の剣を肩にかけた、頼もしいダグラス。
そして、左には、ノルディスがいる。
その向こう、まだ盗賊の薄汚れた装束をまとったままのナタリエさんが、布に包まれた小さなかたまりを、 ノルディスに差し出そうとしている。
いったん手を出しかけたノルディスは、ゆっくりと首を振ると、わたしの方を手で指し示した。
「そうだね、やっぱり、ママの手元がいちばんだよね」
と言うナタリエさんの声が、遠くから聞こえる。
次の瞬間、暖かく、柔らかなものが、わたしの腕の中に移っていた。
さっきまで、騒ぎも知らずに眠っていたのかも知れない。
ちょっとぼんやりした表情で、視線を宙にさまよわせていたが、わたしと目が合うと、声をあげて笑った。
「よかったね、アイゼル」
エリーの声が聞こえる。
「これが、あなたたちの赤ちゃんなのね」
マルローネさんの声も聞こえる。
今、この場所に、エリーとマルローネさんがいてくれることが、わたしには、神様がくれた不思議な偶然のような気がしてならない。

そう・・・この娘の名前はエルローネ。
わたしの親友と、恩人のふたりの名前にちなんで付けた名前。
ノルディスが、そっと近寄り、わたしの肩を優しく抱いてくれる。
エルローネをしっかりと腕に抱き、ノルディスの胸に顔をうずめて、わたしは思い切り泣いた。

<おわり>
<付録>
―<空飛ぶじゅうたん・レシピ>―
生きてるナワ
風乗り鳥の羽
グラビ結晶
中和剤(緑)

   9.0
   5.0
   9.0
   3.0 細工道具・乳鉢を使用

―<元気な生きてるナワ・レシピ>―
生きてるナワ
植物用栄養剤
   1.0
   5.0 乳鉢を使用


≪綾姫より≫
あー。(T▽T)
感涙に咽ぶばかりです。
○に様のHP「ふかしぎダンジョン」15000hit記念に綾姫がリクエストした選択肢の中から、 「ノルアイ夫婦もの」「ダグラス帰郷もの」の2種類のリクエストをドッキングして今回の小説を書いてくださいました。
ひとつぶで2度も3度もおいしい。シュワルベさんやナタリエちゃんまでしっかり出てくるので、 「マリーのアトリエ」ファンにも嬉しい内容になってますね♪
子供の名前も納得です。二人のオリジナル調合も「らしい」し。なんと言っても若妻アイゼルちゃんが可憐〜!
綾姫のへっぽこ小説とは段違いの素晴らしさに、つくづく恐れ入ります。
綾姫は○に様ファンですので、作品は問答無用で綾の国国宝指定です。(笑)
本当にどうもありがとうございましたー!

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